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記憶から木録へ『国破れて‘山河’あり』(紙すき爺さん)

by w-history

解体新書

 この本の出版で日本の医学は大きく前進することになります。またオランダ語の翻訳技術が進み、医学以外の学問も盛んになります。このような西洋の学問を「蘭学(らんがく)」と呼びました。
 今からおよそ240年前、医者であり蘭学者でもあった杉田玄白は、仲間といっしょにオランダ語の解剖書を翻訳して『解体新書』を作りました。その原書『ターヘル・アナトミア』という本には、人間の体の中の内臓や筋肉、骨格などが詳細に描かれていて、玄白たちは驚きました。医者である玄白も、それまで体の中を見たことがなかったのです。そうやって始めた翻訳は大変な作業でした。辞書などなかったからです。

 ある日、処刑(しょけい)された囚人の解剖に立ち会う機会を得た玄白は、『ターヘル・アナトミア』にかかれている解剖図の正確さに感動し、このときの気持ちを書き残しています。「基本的な人の体の中も知らずに医者をしていたとは・・面目もなき次第」。当時の医者は、主に患者の様子を外から見て病気を判断し、薬を使って治すのが常でした。

1774年は、玄白が『解体新書』を出版した年。こう覚えましょう。「人の中ながめて調べた(1774)解体新書」。
by w-history | 2013-04-08 23:00